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メモリアルダイアモンド [大人の童話]

「故人のご遺骨から炭素を抽出し精製、メモリアルダイアモンドに・・・」
 私はインターネットネットで見つけた記事を読んでいた。骨の一部か、あるいは遺骨の全部で人工ダイアが作れると言う。全部の骨を使うと墓の心配もなくなる。妻は、まもなく天使になる。何もしてやれない悲しさと悔しさの中で、どんな風に愛する妻を私の元に残そうかと考えていた矢先のこと。探してみると仙台にも取次店があった。
  たった2人の生活から独りぼっちになる寂しさ、反面、入院生活が長かったせ いか、妻を早く楽にしてやりたいとも思っていた。 心の中で早く天使になることを願う矛盾、そんな心の不安定な中、数ヵ月後、 妻は本当に天使になった。 ひっそりと家族だけの葬式を終えた。不思議と涙は出なかった
 しばらくして、私はダイアモンドのことを思 い出した。
 高価ではあったが死亡保険金の一部で支払いを済ませた。
 それから半年、妻の骨の全部が人工ダイアになって戻ってきた。 手に乗せるとキラット優しい光りを放った。私は小さくなった妻を、いつも懐に入れていた。 不思議なことにその輝きは毎日変化した。 そのうち私はそれが妻からのメッセージだと確信した。私が嬉しい時はピンク色に光り、私が悲しみに沈んでいると水色に光った。腹が立つ時はダイアも赤く光った。 「お前は私といつも一緒で、同じように感動して生きているんだね。」
数年が過ぎ、縁あって初婚の女性と再婚することになった。 何もいらないと言う彼女に、悪気はなかったが、あの人工ダイアで指輪を作り贈った。
「わあ!綺麗な真紅の石だわね」 彼女の言葉に、私は心臓が止まりそうになった。
 妻の骨で作った人工ダイアが、再婚相手の細い薬指にはまり、真っ赤な血の色に染まって怪しく輝き続けていたから。

ダイア120.jpg

 あとがき

 昨年の暮れに「みちのく怪談」に投稿した作品です

性懲りもなく書いてみました

年のはじめの「お笑い」としてお読みいただければ幸いです


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